見出し画像

港南台かもめ団地&MUJI×URー私たちにとっての「まちづくり」ー:(第1回・後編)「#Interviews まちづくりってどんな人が携わる?」

団地まるごとリノベーションプロジェクトにかける思い

前回の記事でもお伝えした通り、今回のプロジェクトは、私たちURとMUJI HOUSEが団地や地域にお住まいの方々、地域関係者の方々の協力を得ながら進めています。私たちプロジェクトを推進する側としては、新しい試みということもあり、難しい課題が出現する一方で、新たな発見ややりがいも感じられる日々です。

今回は、このかもめプロジェクトに参加するURとMUJI HOUSEの若手担当者に、この団地まるごとリノベーションプロジェクトにかける思いを聞いてみました。

UR都市機構 髙橋 健一

<UR都市機構>
東日本賃貸住宅本部 神奈川エリア経営部 ストック活用計画課
髙橋 健一

<株式会社MUJI HOUSE>
無印良品のリノベーション 青山店
二級建築士
2級建築施工管理技士
中村楓 さん

―MUJI HOUSEさんとコラボレーションすることで、今までにない家の見せ方やブランディングが出来上がったと思います。この「MUJI×UR団地まるごとリノベーションプロジェクト」のアピールポイントを教えてください。

髙橋:これまでの住戸リノベーションからさらに範囲を広げ、屋外環境のリノベーションやコミュニティ形成支援も実施する新しいプロジェクトということがやはりこのプロジェクトの一番の特徴だと思っています。MUJI HOUSEさんと進められることでイベント等では主婦の方や若い方にもご参加いただいており、段々と手ごたえを感じています。

中村:そうですね。若い人からの評判がいいのは嬉しいです。“壊しすぎず、作りこみすぎない”をモットーに、余白を残した空間づくりを意識しているので、木の柱や鴨居はそのまま使用してヴィンテージ感を出したり、従来あったふすまを取り外しできるようにしたり、間取りをアレンジして使うことも可能にしました。また、多様化する働き方に合わせ、押し入れをワークスペースにしたり、住む人の生活スタイルに合わせて空間をアレンジしたりできる自由があるのも魅力になっている気がします。

「MUJI×UR 団地まるごとリノベーションプロジェクト」内装/寝室
「MUJI×UR 団地まるごとリノベーションプロジェクト」内装/ダイニングキッチン

―プロジェクトにおいて何か変化はありましたか? また課題や改善点などあれば教えてください。

髙橋:団地のコミュニティは一般的に参加者が高齢の方に偏りがちなこともあり、最初はコミュニティに多世代の方を呼び込むのが難しいと感じることもありました。でも、かもめマルシェやかもめ会議を通して、粘り強くたくさんの方々と話し合いを重ね仲良くなっていくことで、かもメイトが徐々に増え、少しずついろいろな世代の方が増えてきたのを実感しています。

中村:確かにこれまでを振り返ると、そもそも集会所の存在すら知らない人たちもいました。集会所の存在は知っていても、何のためにあるのか、何をする場所なのかを知らない人も多く、そこからのスタートでした。けれど、かもめ会議を開催していくうちに、実はアイディアを持っている人もいたり、要望を聞いてもらえることを嬉しいと感じてくれる人も一定数いたりすることもわかり、コミュニティ形成のポテンシャルはあるなと感じました。かもめマルシェではいろいろなワークショップやイベントを実施していますが、特に食にまつわるイベントは人気が高く、多世代の方に興味を持ってもらえるコンテンツなんだと思いました。それを形にしたのが、集会所内にシェアキッチンを作ろうという試みです。

―プロジェクトを通してどのような“まちづくり”を心がけていますか?

MUJI HOUSE 中村楓さん

髙橋: プロジェクトである“まちづくり”を進めるうえで重要なのは、人を巻き込むことだと思っています。プロジェクトの中で私たちも様々な取り組みを実施してきておりますが、それだけではやはりコミュニティを創出することは難しいのが現実です。そのため、 団地にお住まいの方々や周辺関係者の方々の協力も必須であると考え、まずはかもめ会議やかもめマルシェの内容を工夫することでなるべく多くの方にこの取り組みに興味を持ってもらうことを目指しています。

中村:住戸のみのリノベーションと違って、団地の共用部も含めたこのリノベーションプロジェクトは、団地ならではの可能性があると思うんです。ゆとりある敷地や恵まれた緑など、実は団地には優れた部分がたくさんあるので、全てを新しくするのではなく、そうした元からある良さをなるべく生かしたまちづくりをしようと心がけています。

―“まちづくり”に携わるにあたって重要だと思うマインドや考え方はどのようなものがありますか?

髙橋:私は生まれ育った町が再開発で発展していく様子を見てきたのがきっかけで、興味を持つようになりました。

中村:私はもともと団地のリノベーションに興味があったんです。団地のリノベーションは建築としてのハードの面だけでなく、共用スペースを使う住民のみなさんの意見やコミュニティといったソフト面にも携わることができると思ったので、今とてもやりがいを感じています。

―ご自身の生活の中で“まちづくり”のヒントになっていることはありますか?

髙橋:私の場合は歩いているときにたまたま見かけたイベントや地域の人たちに根付いた商業イベントなどから、プロジェクトのヒントやアイディアが生まれてきたりすることがあります。

中村:私はネットや雑誌などを見て情報を得ることが多いです。似たような事例からヒントを得ることもよくあります。

―今回の記事作成にあたり、何名か“かもメイト”の方々の声を聴いたところ、多くの方が前向きな評価をされていることがわかりました。港南台かもめ団地の在住歴はバラバラですが、「お部屋からの眺めが気に入っている」とか、「緑が多い」といったことだけでなく、「リノベーションされたお部屋が気に入って入居を決めた」という方や、「かもめマルシェが気に入って毎回来ている」という方もいらっしゃいました。

また、住み始めてからかもめプロジェクトの存在を知り、かもメイトとして何回も参加しているという方もいらっしゃいました。こうした声はとても励みになると思いますが、今後このまちづくりプロジェクトで挑戦していきたいことなどあれば教えてください。

2023年2月4日(土)に開催された、かもめ団地 MUJI×UR 改修について(拡大版かもめ会議)のパネルディスカッションの集会所に置かれたボード

髙橋:そういう声を聞くととても励みになりますね。これからもっとこのプロジェクトを推進するために例えばですが、かもメイトによるサークル活動なんかも作れたらいいなと思っています。ワークショップ以外にも趣味を共通としたつながりなども作っていけたら、団地のコミュニティが自然と広がっていくんじゃないかと考えています。

中村:サークル活動は良いですね。多世代の方々の意見をまとめたり、コミュニティを作っていくというのは難しいと感じることも最初はありましたが、かもメイトの方々と顔見知りになって話を聞くことによって違う世代の方への理解が深まったり、新しいつながりが生まれてくることもあるので、それがやりがいになっています。先ほど話にあった食のイベントはかなりいいきっかけ作りになると思うので、このプロジェクトをみなさんとともに、楽しんで進めていけたらと思っています。

髙橋さん、中村さん、本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました!

「MUJI×UR団地まるごとリノベーションプロジェクト」は、団地の良さや歴史を生かしつつ、時代の変化に合わせ、多様化する日本の暮らしに新しい賃貸リノベーションの形を創るプロジェクトです。これからもこのプロジェクトを通じて多くの方々とつながり、新しいまちづくりのお手伝いをしていきたいと思っていますので、ぜひご注目ください!

髙橋も登壇しているMUJI HOUSE主催のトークイベント「港南台かもめ団地MUJI×UR団地まるごとリノベーションについて」のレポートは、こちらからご覧いただけます。

取材・執筆:日暮まり
写真:近藤俊哉
編集:福津くるみ

前編はこちら▼


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!