恵比寿~商店街とトレンドスポットが交差するカルチャーの発信地~:(第7回)「#エモ街」
懐かしくて新しい“エモ”な街を巡る連載「#エモ街」。7回目となる今回は、東京都にある恵比寿を訪れます。
レトロな雰囲気を楽しめる“商店街”があるまち
トレンドとファッションのまちである渋谷や代官山と隣接する恵比寿。長く恵比寿のランドマーク的な存在として君臨する恵比寿ガーデンプレイスには、おしゃれ感度の高いショップやレストランが多数ある一方で、駅周辺には「恵比寿銀座」や「恵比寿駅前通り商店街」など、どこか懐かしさと温かみを感じるエモい商店街がたくさんあります。
そんなモダンとレトロがほどよく共存しているのは逆に今っぽくもあり、昔に比べて若者が多くなった印象も。洗練された衣食住がバランスよく叶えられるのも手伝って、恵比寿は不動産・住宅情報サービスが行う各社の「住みたい街ランキング」でも、長年上位にランクインし続けている人気のまちのひとつです。
そんな多くの人たちが“住んでみたい”と思うこのまちの魅力を、探っていきたいと思います。
恵比寿のまちとURの「関係」
恵比寿といえば「エビスビール」、というぐらい恵比寿のまちの象徴として根付いているのがエビスビールの存在。そもそもこの「恵比寿」という地名の由来は、日本麦酒(現サッポロビール)の本社がこの地にできたことに由来していて、1988年まで現在の恵比寿ガーデンプレイスの場所にエビスビールの工場もありました。
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この恵比寿ガーデンプレイスですが、実は昔、URがまだ「住宅・都市整備公団」だった時代にサッポロビールとともにここの建設・整備に関わっていたこともあり、かねてよりご縁のある場所。しかも、恵比寿駅周辺には、URの賃貸住宅が2つあります。
ひとつは、恵比寿駅と代官山駅どちらにも近く、物件内に保育園もある「シャレール恵比寿」。もうひとつは、恵比寿ガーデンプレイス内、スタイリッシュで窓から都会の絶景が臨める超高層物件の「恵比寿ビュータワー」。どちらも子育て世代からシニア世代まで幅広い層の方に人気の便利で住みやすい物件です。
本場ベトナムのバインミーをふっくら焼きたてパンで堪能「エビスバインミーベーカリー」
新店舗のオープンが盛んな恵比寿ですが、このまちには古くから存在する商店街の魅力もたっぷり。そのひとつが赤い大きなネオンの文字でエモさを醸す古き良き商店街の「えびすストア」。ビルの1階部分が商店街として通り抜けられるような造りになっていて、そこには飲食店や雑貨店など約30もの店舗が入っています。
この商店街にある恵比寿通り側の入り口側に店を構えるのが、「エビスバインミーベーカリー」。道を歩いているとベトナム料理特有のスパイシーな香りがふんわりと漂い、食欲をそそります。
ここのバインミーの魅力は、何と言ってもサンドに使われるパン。本格バインミーの味をパンから再現するべく、ベトナムの老舗ベーカリーにて製パン技術を取得。同じえびすストア内に製パン所も構え、焼きたてのパンでバインミーを提供しています。
オーナーの茂木貴彦さんいわく、このビルの昭和っぽい雰囲気がベトナムの市場の雰囲気に似ていたことからここで店舗を開業することを決めたそう。「ここには八百屋さんや魚屋さんなど昭和から何十年も続いている店舗もありますし、駒専門店とか帽子専門店などマニアックなお店がたくさんあるのもユニーク。ノスタルジックな雰囲気がいいなと思っています」と、恵比寿の魅力を話してくれました。
このお店ではバインミーのパンだけの販売もしているので、自宅でオリジナルのバインミーを楽しむことも可能です。
えびすストア内の他店舗の散策もかねて、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
セルフタップでクラフトビールの飲み比べも楽しめる「タップアンドタンブラー」
恵比寿4丁目交差点から新橋通り方面に向かうと、「ビール坂」と呼ばれる坂があります。この辺りの街灯は2つのビールジョッキが乾杯をするような形をしていて、昼間はちょっとポップに、夜は優しく温かな灯りとしてまちを彩ります。
その「ビール坂」エリアを中心に成すのが「恵比寿ビール坂商店会」。その商店街の中には、クラフトビールをセルフタップで飲める「タップアンドタンブラー」があります。
スタイリッシュでインダストリアルな内装は、まるで海外のビアバーに来たような雰囲気。奥には15のクラフトビールのタップが並び、あまりの種類の豊富さに迷ってしまうほど。精算用の「POURカード」をセットし、自分でビールを注ぐ楽しさは、もはや体験型エンターテイメントです。
もとはサラリーマンをしていたという、代表の金井圭司さん。ビール好きが高じて、2018年にビールの量り売り店舗を下北沢にオープン。斬新な店舗形態は話題を呼び、2店舗目に渋谷、そして3店舗目としてセルフタップという、これまた新しいスタイルの店舗をこの場所で2022年にオープン。ビールが飲める専門店なだけに、あえてこの場所を選んだのかと思いきや、意外にもたまたまご縁があったからだそう。
毎年10月にはビール坂商店会による「ビール坂祭り」が開催され、周辺店舗による出店のほか、盆踊りイベントも。「お祭りのときは、周辺店舗の方々とも交流できるので嬉しいですね。そういうイベントや人とのつながりが、これから増えていったらいいなと思います」と、金井さんは話します。
種類豊富なクラフトビールを揃えている同店では、フルーティーな味わいや栗のような味わいといった珍しいクラフトビールが並び、ビールが好きな人はもとより、ビールが苦手な人でも少しずつその味わいを飲み比べてクラフトビールの奥深さに触れることができます。ビールの種類はこまめに変わるので、クラフトビール好きにはたまらないお店です。
屋台からスタートした、恵比寿で愛され続ける老舗居酒屋「吉柳」
アパレルショップやライブハウスなど、昔からカルチャーと結びつきの強い恵比寿のまち。それだけに流行や人々の好みの移り変わりが激しいなかで、30年以上も人々から愛され続けている名店「吉柳」が、「恵比寿駅前通り商店街」にあります。
店主である吉柳利哉さんが最初にお店をオープンさせたときは、なんと屋台一台からのスタートでした。生まれも育ちも恵比寿という吉柳さんだからこそこのまちに住む人、働く人、遊びに来る人などさまざまな人たちの好みや欲するものが自然とわかるのかもしれません。その証拠にオープン当初は屋台という形態にもかかわらず行列ができ、お客の中には著名人の姿も。その後も恵比寿でいくつか店舗を構え、現在は恵比寿駅前商店街の一角で吉柳を運営しています。
ビルの階段を上がり、お店に入ると壁一面にぎっしりと手書きのアートが。
カウンターにもアーティストたちによるイラストやステッカーなどが貼られ、昔も今もなおたくさんのアートやカルチャー好きの人たちに愛されているのがうかがえます。
屋台でスタートしたときから35年経った今もメニューにあるのは、フレッシュなほうれん草とカリカリのベーコンに半熟の目玉焼きが3つも載ったダイナミックな「ほうれん草とベーコンエッグサラダ」に、バター風味のたこ飯に梅干しとレモンの爽やかさをプラスして味わう「タコ飯」、そしてさっぱりとした味わいと濃厚な食べ応えの「バナナアイス」。どれも一度食べたらくせになるリピート確定メニューです。
長く恵比寿のまちを知る吉柳さんにとってこのまちの変わらぬ魅力となっているのは、やはり先述したえびすストア内の魚屋さんや八百屋さんだそう。
「今の恵比寿横丁は、昔の『山下ショッピングセンター』跡地をリニューアルしたもの。今の人のニーズに合わせて、上手に跡地を使っているなと思います。恵比寿のまちは公園も多いので、生活している人たちが楽しめる文化が生まれていくといいなと思っています。ちなみに、私のお気に入りの公園は恵比寿南二公園です」と、恵比寿の魅力を話してくれました。
どれもボリュームたっぷりなメニューが並ぶのもこのお店の魅力のひとつ。恵比寿に来たらぜひ訪れてみてください。
また、毎月第3日曜日17時から、お店の食べ物メニューの作り方を料理教室として開催しているとのこと。タコ飯やバナナアイスを作る月もあるそうです。
そして、今回、バナナアイスの特別レシピも教えていただきました! お家でも簡単に作れるので、試してみてください。
バナナアイス
■食材
・バナナ(6本)
・生クリーム(400cc)
・グラニュー糖(250cc)
・オレンジジュース(200cc)
・ポッカレモン(60cc)
■道具
・フードプロセッサー
・ステンバット(タッパーよりもステンの方がおいしく仕上がります)
■作り方
・食材すべてをフードプロセッサーに入れてミキシングします。バナナの形がなくなれば、ステンバットに入れて冷凍庫へ。
・冷凍庫に入れてから3時間後に混ぜる。それから30分ごとに4.5回混ぜて下さい。これをやらないと、シャリシャリになったり、粘りがでなかったりします。
※オレンジジュースは、パインなどでも代用できます。ポッカレモンは、酸味出してあっさりとした味に仕上げるためと、バナナの変色を防ぎます。
少しずつ暖かくなり、まち散策がより楽しくなるシーズンの到来。お休みの日に恵比寿のまちの魅力を発見しにお出かけしてみてはいかがでしょうか?